38歳になった。

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7月2日に38歳となった。これから毎年、誕生日に今やっていることや思っていること、一年前と比べて変わったことなどについて書くことにする。何年か経ってからまとめて見返すと状況の変化や価値観の変遷が確認できると思う。

38歳という年齢について

未だに身長が伸びているようでもあるし、肉体的な老化が全く進まないのだが、数字だけ見れば中年というのが客観的事実だと思う。これは、自分がどれだけ若くいられるかという話とは無関係だ。例えば、今自分のしている仕事は20代の頃の自分にもできそうなことだが、自分が20代の時に38歳の人が自分でもできそうな仕事をして目立っていたり自分より高い給料を貰っているのを見たらどう思っただろうか。この年齢ではそう見られるという現実がある。(と言っても私生活以外で実年齢を話す機会ってまずないから、どちらかというと同じ20代くらいだと思われて舐められることの方が多いと思うけど。)自分がやりやすい仕事をいつまでも独り占めするのではなく、次の世代にチャンスを与えることに責任を感じ始めている。

日本語のTwitterに飽きてきた

日本語のTwitterを毎日見る習慣は変わっていない。しかし、そこで繰り広げられる議論は何年間も進歩が無いように見える。様々な社会問題についての気づきを与えてくれるものの、実際に社会問題の解決に向かって動いている人たちがいるようには見えない。差別的な発言をする人たちがいる一方で、それを指摘したり批判する人たちもまたとても攻撃的で、時折とても差別的な一面を覗かせたりする。そのような光景には飽きてきた。また、Twitterでは僕の仕事であるゲーム開発の技術、特にMayaやZbrush等のCGツールのTipsがよく流れる。以前はそういうの全てに目を通してためになるなと思っていたのだが、最近は無視するようになった。というのも僕はそのようにTipsをシェアしてくれるようなスキルあるアーティストとのコネクションは既にあるので、そういう人たちと一緒に仕事して直接教えて貰った方が速い。その他有料のセミナーもあるし、そういうところで集中的に学んだ方がTwitterで断片的な知識を入れるよりはずっと学習効率が良いと思う。とにかくTwitterは以前ほど積極的に使わずに、電車に乗った時の暇つぶしとか朝起きた時にニュースや友人の投稿を見るだけのものになっている。

相変わらず英語がうまく話せない

というわけで英語専用のTwitterアカウントを作ったのだけど、日本語の時のように思いついたことを気軽に呟くことができず、習慣として投稿し続けることができない。それだと他のユーザーからの反応もないのでまたつまらなくなって遠ざかってしまっている。そもそも、38歳にもなって英語がまともに話せない。昨年のデンマークでは苦労したが、今年のデンマークではメンターという立場でデンマーク人の参加者の相談にも応える義務があるので、もっと話せるようになっていたい。というわけで評判は知っていてもずっと面倒でやりたがらなかったDMM英会話を今度こそ始めることにする。

仕事以外の時間の使い方

仕事以外の時間とは、クライアントから請け負った仕事に集中すべき日中の時間以外という意味。つまり主に平日の早朝か夜、土日の時間に友人や家族と過ごす以外には1人で何をしているか。ゲームはちゃんとプレイしてるけどそんなに夢中になっていない。「研究」とか「調査」とか言い張って仕事の時間にゲームをやるのはあんまかっこ良くなくて好きじゃないので、プライベートな時間を使ってゲームをプレイしているけど、どちらかというと音楽に時間を使いたいので、ゲームをやるにもそれなりの目的やモチベーションがいる。最近は後述する「コミュニティファースト」なゲームを作るためにプレイヤーコミュニティが盛り上がっているe-sports系のゲームを中心にマルチプレイヤーのゲームをいくつもプレイしている。

3週間前から始めたことだが、毎日なるべく早起きして数十分から1時間で1曲作ることを目標にギター1本だけの小曲を作っている。早起きできない日もあるし、1時間やっても1曲作れない日もあるし、作れたとしても後で聞いて「ボツ」という名のフォルダに入れられる曲もあるけれども、この3週間では「お気に入り」という名のフォルダに入れられる曲が5曲作れた。自分のゲームのBGMとして使うことをイメージしているのだが、30曲くらいできたらゲームより先に公開しようと思っている。

早朝の日課と言えば、以前自分のゲームのためにMayaによるモデリングやアニメーションに挑戦していたのだが、昨年そのゲームの開発を中止して以来全然できていない。キャラクターが作りたくて3か月前にZbrushも購入したのに1回も触れていない。今は音楽に集中しているが、これも音楽と同じように数十分で1作品を目標に簡単な物を作るならば、続けられそうな気がしている。作ったモデルはもちろん自分のゲームに作りたい。

自分のゲームについてはそれらに加えてパブリッシャーに見せる企画書やプロトタイプを作らなければならない。これも昨年からは大した進展がないのだが、後述のように最近ようやく目標が定まって来たので、今年中には何らかの形になると思っている。

どれにしても仕事以外の限られた時間を使ってやる以上は、どうしても進捗がスローペースになるのは仕方ないと思っている。以前はそれを自覚できずに無理な目標を立てて失敗したし、何よりゲームのクオリティに関わる仕事を毎日少しずつ進められるような単位に分解する工夫が足りなかった。今回に関しては、音楽でもCGでも毎日小作品を1つずつ作ること、それがゲームのクオリティにそのまま繋がるような構想を考えている。

人を感動させるような作品を作れなくても良いかもしれない

僕は「ヴィーナス&ブレイブス」のようなゲームに感動したからゲームデザイナーという仕事を選んだし、いつか自分でもそのようにゲームデザイナーの価値観や想いを伝えるようなゲームを作りたいと思っていた。それはヴィーナス&ブレイブスのディレクターだった川口さんにも直接話し続けていたことでもある。だが、昨今のゲームシーンの変化を見ているうちに価値観の変化が起き始めている。それは「コミュニティファースト」という考え方だ。SNSやe-sportsやゲームプレイ配信技術の普及によってゲームプレイヤーのコミュニティが新たなゲームシーンを形成した。それまでゲームシーン=ゲーム業界だったのが、ゲームシーン=ユーザーコミュニティになった。今やゲームシーンの主役はゲームデザイナーでもゲーム会社でもなくプレイヤーである。プレイヤーがプレイヤーの尊敬を集める世界。もしかしたら、ストーリーベースで作家性の高いシングルプレイヤーのゲームを作ることよりも、コミュニティが望むマルチプレイヤーのゲーム、つまりプレイヤー同士が尊敬しあえる世界を作る方がより多くの人の人生に良い影響を与えられるのではと考え始めている。作品自体に感動はなくてもプレイヤー同士が作る物語の中に感動があれば良いのかもしれない。もちろん、どっちの方が価値があると結論づけられるものではないし、ヴィーナス&ブレイブスのようなゲームを作りたいという想いは忘れたわけではない。しかし、仕事である以上、ビジネスである以上、時代性に合わせた方が成功の確率は高い。どうせやるなら成功したい。というわけで昨年シングルプレイヤーのゲームとして企画してデンマークでプレゼンして来た作品をマルチプレイヤーのゲームとして考え直している所である。

前述した毎日1曲作ることを目標に作曲するというのも「名曲」を作ることにこだわって時間を消費するよりは、人々が気軽に聴き流せるアンビエントミュージックをたくさん作る方がこの世界に与える価値も大きいし、自分としても得るものが多いのではという考えからである。作家としてこの世に送り出すもの全てが感動の名作である必要はない。今は作り続けること、出し続けることを優先したい。

Apple Musicでクラシックロックを聴いている

音楽と言えば相変わらずヘヴィ・メタルばっか聴いてるのだが、大好きなMANOWARやKISSといったバンドのルーツが知りたくて、60年代のロックも聴くようになった。また、それまで聴いてなかったプログレも聴くようになった。自分があまり詳しくない音楽ジャンルについてすぐに聴きたいと思った時、Apple Musicは音楽の図書館のような役割を果たしてくれる。Apple Musicによって初めて音楽の「勉強」ができるようになり、そのおかげで明らかに自分の音楽的素養が増したと実感できている。

お金の使い方が変わった

Apple Musicの利用は特に顕著な例なのだが、とにかく形あるものにお金を使わなくなった。自分が詳しくないジャンルだけでなく、好きなアーティストの新作であってもCDを買わずにApple Musicで聴くようになった。Apple Musicならリリースと同時にすぐ聴けるのだが、CDの場合は買っても開封するのが面倒で聴くのが後回しになってしまうことがあまりにも多かった。その方がアーティストに申し訳ないと思うので、応援の方法としてApple Musicの再生回数を上げることを選んだ。ゲームもパッケージをamazonで買う方が安いケースが多いのだが、ダウンロードで買うようになった。ディスクをケースから取り出してPS4に入れる時間がない。そのせいでパッケージを買っても積むだけだ。「コレクターズボックス」など名前のついた特典付き限定版のパッケージを買っても開けないことが増えてきた。楽器やその他音楽用の機材に対してはまだ物欲と言えるものが残っているのだが、もう安い物しか買わなくなった。安い楽器でもプロユースに耐えうることが分かってきた。(良い製品はたくさん売れるので必然的に安くなるのも真実である。)

写真のギターは3か月ほど前に買ったJacksonの7弦ギターなのだが、新品で27864円という驚異的な低価格であった。3万円以下のギターなんて使い物にならないと前は思っていたが、7弦ギターはなんでも良いから1つ欲しいと思っていたし評判がとても良いので、サウンドハウスで見つけた時にすぐに買った。実際のところ、とても素晴らしいギターだった。低コストなポプラ材で作られたためとても軽くて取り回しやすく、ネックも握りやすい。スケールが長いためドロップチューニングでもテンションが高くピッチが安定している。ピックアップはどこの工場で作られたものか分からないが、絶妙なパワーバランスでクリーントーンとハイゲインのどちらでも使える。そしてノブによるトーンコントロールも分かりやすく効いて様々なジャンルの音楽に使える。おかげで作曲用のギターとして重宝している。もしまた新しいギターを買うなら、これと同じものがもう1つ欲しいかもしれない。こんなギターが3万円以下で買えてしまうとそれより高いエフェクターやその他機材などを購入するのも馬鹿らしくなってくるので、1万円以上のエフェクターは欲しくなくなって来た。

このように物に対してお金を使わなくなった一方で、移動や宿泊や食事の費用をケチらなくなって来た。お金を払うことで少しでも不快な思いをしたり不便によって時間を無駄にするリスクを減らせるなら喜んで払えるようになって来た。飛行機に乗る時はビジネスクラスには手が届かないとしても今はどこの航空会社にもある「プレミアムエコノミー」と呼ばれるような少し広い席にアップグレードするし、ホテルは価格よりも便利さを重視して選ぶ。お金を無駄にすることよりも時間を無駄にすることの方が怖い。昨年行ったデンマークでのアーティストインレジデンスのように、飛行機に乗る時というのは何か大きな目的があったりその後の人生に大きな影響を及ぼすようなイベントの時だ。そこで何かのトラブルや不便があって自分の目的に集中できないなんてことがあってはいけない。今年もまたデンマークに行くことになっているが、今回自腹となるホテル代は18泊で17万円以上かかることになっている。これが民泊なら半額になったりするのだが、不便を避けるためだけに10万円以上払えるし、この宿泊費を抑えるために滞在を短くするという発想もない。

また、サービス業の人たちの賃金を上げて欲しいという願いがある。例えば、APAホテルのオーナーが愛国を声高に叫ぶ一方で低価格路線を変更せずに外国人の従業員を安い給料で働かせているのは矛盾も甚だしい。アベノミクスが目指すところは国内外の富裕層が満足して利用できるような高付加価値なサービス業を育成して賃金水準を上げることであるが、APAホテルは安倍首相の支持を叫ぶくせに真逆のことをやっている。僕はもうそういうの見てると本当に胸糞悪くなってくるので、安さを優先してホテルを選ぶことはやめた。食事についても安くて美味しい店なんてものを探す時間があったら高い店に入ってしまう。これもデンマークに行って気づいたことだが、本来人が直接顧客の応対をするサービス業、その中でも特にホスピタリティが要求される業種は属人性が強く人件費が高くなって当たり前。しかし日本では安さが正義という風潮がある。僕には少ない稼ぎで節約を追い求めることが賢いことだとか偉いことだとか思えない。ホテルや飲食店で働く人たちは良い給料もらって笑顔で働いて欲しい。テーマパークのチケットなんかもっと高くなって良いと思っている。

子どものための仕事の価値がわかって来た

ちょうど一年前に初めてユニバーサルスタジオジャパンに行って、そこでミニオンというキャラクターと出会い、それから新作映画の公開もあってすっかりはまってしまった。独身ということもあり、それまでファミリー向けのキャラクターやコンテンツには仕事でも趣味でも特に興味はなかったのだが、ミニオンのおかげでそのような仕事の価値がわかるようになった。実は今仕事で一つ全年齢向けのゲームを作っていて、それは本当にありがたい機会だと思っている。自分でもいつか世界中の人が家族で楽しめるようなキャラクターやコンテンツを生み出したいという新たな目標も芽生えて来た。また、キャラクターやコンテンツなど所有されたり消費される商品でなく、その日その場所だけの掛け替えのない体験を提供するテーマパークの価値にも注目している。この一年の間にもう一度ユニバーサルスタジオジャパンに行ったのだが、何もかもクオリティが高く、あのような場所を作っている企業やクルーのことを本当に尊敬している。そして僕は今日この誕生日もユニバーサルスタジオジャパンでミニオンを追いかけているのである。

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