個性豊かな参加者達と価値あるコンサル体験〜デンマークでのアーティストインレジデンス体験記(2)〜

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デンマークのアーティストインレジデンス体験記第2回(前回記事はこちら)
今年度の応募締め切りまで10日ほどだが興味のある人は応募して欲しい。1週間あれば間に合うはずだ。

参加者について

さて、前回は応募して選考を通過して現地で第1週を終えるまでの話だったが、僕以外の参加者について何も話していなかった。日本人及び日本在住外国人参加者枠には、芸大の大学院等で制作に取り組んで来たようなアニメーション作家が多かった。そのような人材の中には日本の有名スマフォゲーム会社で働く中国人のアニメーション作家もいたし、コロンビアから留学して来た作家もいた。また、オランダやスウェーデンやLA等海外在住の日本人アーティストもいたし、僕のように留学も経験せずずっと日本の中だけで仕事してる人間は珍しかった。(そんな僕でも選考に通ったわけだし応募の際に考慮する必要はない。)デンマーク側の参加者は必然的に地元のThe Animation Workshopの学生や卒業生が多かったが、既にインディーゲームシーンで知られるような作品をSteamでリリースしたインディーディベロッパーの社員2人組もいた。

金曜日の夜の様子。他の参加者やArsenaletの入居者と交流する時間は充分にあった。

金曜日の夜の様子。他の参加者やArsenaletの入居者と交流する時間は充分にあった。

日本人も日本在住外国人もデンマーク人も全体的にノリが良くフレンドリー。中には大人しい人もいるがそれでもフレンドリー。選考を潜り抜けてここに来ただけあって、皆余裕があり、お互いをリスペクトし合っていた。デンマーク人の参加者の中にメタルという共通の趣味を持つ人がいた事もあり、英語が上手くしゃべれない僕でも1週目を終える頃には打ち解けることはできた。また、面白いことに1週目のUnityのワークショップの時に、僕が一番Unityに詳しいという事で日本の参加者達から「師匠」と呼ばれるようになり、以後その呼び名は帰国してからも定着する事となる。

 

第2週~コンサルによる方針転換~

2週目は前の週の金曜日から引き続きAlexendre Mandryka氏のゲームデザイン講義から始まった。それ自体ゲームデザイナーとしてとてもためになる内容。そのうえ僕のようにゲームを作ろうとしている人には個人的なコンサルティングの時間を用意してくれた。そこで彼は僕の企画のいくつかの問題点を指摘した。まずゲームプレイが複雑すぎてゲームをやる前にゲームの面白さが分からないであろう事、そして僕がやりたい事だけがつまっていて、ターゲットオーディエンスの望む物が無視されている事だった。そもそもターゲットオーディエンスが誰なのかも不明瞭だった。その場でAlexendreと一緒にターゲットが何であるか、もっと分かりやすくするとどんなゲームが好きな人達かを整理していった。そしてその日の夜僕は1人でSteamSpyで類似ゲームの売り上げ等を見てマーケットポジショニングを補強し、翌日再びAlexendreに相談する事とした。その2回目のコンサルティングでも、まだマーケット分析が不十分だと指摘された。そしてAlexendreは自身が企業へのコンサルで使っているエクセルシートを見せて、どのように調べていくのか教えてくれた。それを観た時僕は「これは一朝一夕に出来る事ではない。」と感じた。結局その日の夜もまたSteamSpyとか見ながら悩んでしまったが、結論としては「Alexendreの助言それ自体はとても有益だし、引き続きマーケットポジショニングは考えるとしても、今は中途半端にそこに時間費やすくらいなら他の事やった方が良い。」という判断に辿り着いた。翌日に入居するインキュベーション施設The Arsenaletのゲーム事業ディレクターのAdonis Flokiouのコンサルを受ける時間があったので、そこでこれまでの経緯を話し僕の判断が正しいか意見を聞く事とした。Adonisも僕の判断には賛成したのだが、念を押されたのは「かと言ってプレイアブルなプロトタイプを作るような時間もないはずだ。もう一行もコードを書かずに、ダイアグラムやスケマティックによってゲームプレイを説明することに集中しよう。」という事だった。デンマークに来る前からずっとゲームのプレイアブルデモを作る事ばかり意識していた僕からすると意外な展開にはなったが、とりあえず「今何をすべきか」はそこではっきりした。プレイアブルデモは作らないにしても、ゲームのスクリーンショットのような物は欲しいので、ストーリーの要約やキャラクター紹介、ゲームメカニクスを説明するダイアグラムを作りながらもMayaでキャラクターモデルにポーズをつけてUnityのシーンでレンダリングするという作業は続ける事とした。第2週目は他にも日本のアニメ産業についての講義等があったのだが、そちらは欠席して自分の仕事に集中する事とした。結果としてこの時の方針転換や限られた時間の中での選択と集中が功を奏する。自分のゲームのアイディアや事業戦略について身内ではない同業者の意見を伺うのは正直言って緊張する事だったが、日本でただ仕事をしていたらそのような体験はできない。このようなコンサル機会こそがこのアクセラレータープログラムの価値であると言える。このblog記事を書くにあたって当時のメモ等を見返したのだが、やはりこれからこのプロジェクトの終わりまで良い影響を与えるであろう重要なアドバイスを頂けたのだと改めて実感している。(次回は5/10頃に更新予定)

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2週目の土曜日は海に連れて行ってもらえた。忘れられない思い出となった。この日の事は時間があれば改めて話したいと思う。

個性豊かな参加者達と価値あるコンサル体験〜デンマークでのアーティストインレジデンス体験記(2)〜」への3件のフィードバック

  1. ピンバック: 独立系のゲーム/アニメ作家なら絶対行くべし!デンマークでのアーティストインレジデンス体験記(1) | degG, Inc.

  2. ピンバック: 英語でのピッチを何とかした話〜デンマークでのアーティストインレジデンス体験記(3)〜 | degG, Inc.

  3. ピンバック: 最終的に得られた物は何か〜デンマークでのアーティストインレジデンス体験記(4)〜 | degG, Inc.

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