なぜ僕たち大人がミニオンに惹かれるのか

現在最新作「怪盗グルーのミニオン大脱走」が公開中の「怪盗グルー」シリーズ。僕は過去作品を全く観たことがなかったのだが、実は6月にUSJのミニオンパークに行って興味を持ち、地上波で放送された映画2作目「怪盗グルーのミニオン危機一髪」を観てからはまってしまい、公開中の最新作を含めて全作品を観てしまった。普段僕はサスペンス、ホラー、SF、ファンタジー、ミリタリーというジャンルの映画を好んで観ていて、子どもがいないこともあり、ディズニー作品を含め全年齢向けの作品はそんなに観る方ではなかったのだが、「怪盗グルー」シリーズにはまった理由は、他の多くのファンと同じように、ミニオンというキャラクターである。個人的にこのキャラクターへの興味は尽きないが、エンターテインメントの仕事をしていることもあり、なぜミニオンがこれほどまでに「大人たちに」受け入れられたのかと真面目に考えている。結論から述べると、作り手の文化的素養や教養がキャラクターに反映されているからだと思う。

ミニオンは知性が高い

ミニオンの行動や性格の特徴について考えてみた。

  • よく遊ぶ。
  • 子どもっぽい。
  • 集団で悪ノリする。
  • 悪ノリした結果ドジする。
  • けどバカじゃない。
  • よく働く。
  • チームワークが良い。
  • 人間や他の動物に対して意外と友好的。
  • 人間の子どもへの思いやりがある。
  • たまに英語(日本語)を喋る。
  • 音楽が好き。

バカそうでバカじゃないとこが最大の特徴だと思う。後先のこと考えてないように見えるのもその場の発想で解決できる知性の高さがあるから。仕事にも遊びにもアイディアが見て取れる。確かな知性や文化的素養を感じ取れるから、「次は何してくれるんだろう?」ってその行動に期待が持てる。また、皆同じ格好をして一緒に暮らす一方で、人間との交流を楽しみ、音楽などの人間の文化を吸収していく様は排外主義へのアンチテーゼを感じることもできる。そういった所が、大人の興味を引くポイントなのかもしれない。

グルーの研究所は理想のホワイト労働環境か?

ミニオンにとってボスはグルーただ一人であり、ミニオン社会に上下関係は存在しない。また、ミニオンが働くラボの開発責任者であるネファリス博士は開発コンセプトを提示するだけで、ミニオンに対して細かい指示はしない。最適な方法はミニオンが考える。ミニオンは対等な関係の中で役割分担して知識と労働力を集約し、猛スピードで開発を進める。集団での悪ノリはチームワークが良いことの証だ。その結果労働生産性が高まり、休日はしっかり与えられてるようだ。そして休日には一緒に遊ぶ「Nakama」がたくさんいる。休日が楽しみだから仕事も楽しめるという好循環。ミニオンの働き方に大人は夢を見る。働くってもっと楽しいことのはずだ。

結局僕たちは人生を楽しみたい

親のように甘えられるボスがいて、仕事はやりがいがある。休日も十分にあって一緒に遊ぶ家族や友達もいる。この世界にある色んなものに興味を持ち触れてみる。体は丈夫だから多少無茶な冒険しても死なない。ドジ踏んでも痛い目にあっても再チャレンジ。人生がそのように上手く行かないことを知ってる大人だからこそ、ミニオンの姿を見て、もっと楽しく生きようと夢を抱く。それこそ親役のグルーは、時に人生の苦しさを語ることもあるのだが、映画のストーリーや演出がグルーへの感情移入に偏ったらここまで人気が出ていなかっただろう。一見子どものように見えるミニオンの方こそが、健康で文化的で自由な大人の生き方を実践し、大人の視線を惹きつけている。僕が最も好きなミニオンは「ミニオンズ」に出てくるボブという気弱で無邪気で最も子どもっぽいキャラなのだが、その子どもっぽいキャラを観た時に湧き上がる懐かしさや「子どもの頃の気持ちを忘れたくない」という気持ちもまた今を生きる大人の視点から生じる感情だと思う。「怪盗グルー」シリーズの作り手は、意図的にそのような大人の価値観をミニオンに投影しているかもしれない。

仕事を楽しむ姿勢がキャラクターに現れる

さて、映画の制作面に目を向けよう。僕がシリーズの中で最もお気に入りなのは本日地上波で放送される「ミニオンズ」である。「怪盗グルー」シリーズでほぼ全く語られることがなかったミニオンの設定や生い立ちを描いた作品で、「怪盗グルー」のスピンオフという位置付けだが、世界をまたにかけるスケールの大きさなど、冒険活劇としての完成度はシリーズ最高と言える。 とりあえず地上波で見逃したとしてもブルーレイはそんなに高くないので購入をおすすめする。


「ミニオンズ」のブルーレイでは、スタッフのインタビューやストーリーボード、絵コンテなど、様々なメイキング資料を特典映像として観る事ができるが、そこから想像されるのは現代のアクションアドベンチャーゲームの代表作である「アンチャーテッド」の制作過程のように、制作の初期段階でストーリーボードや絵コンテの形で様々なシーンのアイディアを持ち寄り、飽きさせないシナリオを組み立てる方法だ。制作費が豊富にあり、ストーリーボード、絵コンテの段階でかなりのクリエイティブな労力を費やすことができる欧米の映画・ゲーム産業の制作環境のレベルの高さやスタッフの意識の高さに改めて感銘を受けるが、何よりストーリーボードや絵コンテ一枚一枚が芸術作品のようであり、楽しみながら描いてるのが伝わって来る。自分たちが仕事を楽しんでいるからこそ、ミニオンが仕事を楽しんでるように描けるのだろう。

音楽の趣味の良さに文化的素養を感じ取る

「怪盗グルー」シリーズと言えば忘れてはいけないのが、選曲のセンスである。1968年が舞台の「ミニオンズ」ではジミヘンなども登場し、歪んだエレキギターサウンドとサイケデリックロックが流行り、後のハードロック/ヘヴィ・メタルの勃興も示唆する当時の音楽シーンへのオマージュが盛り込まれている。また、現在劇場公開中の最新作「怪盗グルーのミニオン大脱走」の悪役、バルタザール・ブラットは現代で80年代のリバイバルを目論む元スター子役という設定で、当然サウンドトラックにはヴァン・ヘイレンの「Jump」など当時のヒット曲が盛り込まれている。そしてもちろんそれら楽曲に反応するのは大人であり、そのように流行の音楽だけでなく音楽の歴史を楽しむこと、シーンに敬意を表すことは、大人が持ち得る一つの文化的素養と言える。ミニオン語による合唱もシリーズ通しての見どころとなっているが、そのような音楽の趣味の良さも大人向けのキャラクターと思わせる理由の一つである。

ちなみにオマージュと言えば「怪盗グルーのミニオン大脱走」では明確にある有名ゲームへのオマージュと思われるシーンが2つある。最初は偶然似たような絵になったのかなと思ったが、2つめのシーンで「ゲームの最終ステージみたいだな」というセリフがあったので、明らかに意図したものと分かった。一体なんのゲームなのかは劇場で確かめて欲しい。

大人向けに作られてるからグッズも大人買いすべきか・・・

というわけで生まれて初めてマクドナルドでハッピーセットをオーダーした。ハッピーセットは原則としておまけを選べないルールなので、欲しいのを全て集めるのは難しいと思う。そして最初はミニオンじゃなくてバイクに跨ったグルーを引いた。空気読めね〜。また、お気に入りのキャラクターであるボブのグッズも欲しくなってしまったのだが・・・

高い・・・。これ、自分に子どもがいたらすぐに買っちゃうものなのだろうか・・・。

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