CEDEC2016まとめ(1日目)

CEDEC2016で見たもの聞いた話を時系列順に。当初3日分のことを全て1つの記事に書こうと思っていたが凄く長くなりそうなので1日ずつに分けて書くことにした。懇親会の話やCEDEC運営への意見も書く。

8/24(1日目)

HTCViveを体験(The Blu)

基調講演を聴かずにすぐにHTCViveの体験コーナーに向かった。VRには完全に乗り遅れていて、Viveは初めての体験だったのだが、まずその重さに萎えた。重すぎて頭痛くなってくる。まず最初に体験したコンテンツはThe Bluの3つあるコンテンツのうちLuminous Abyssという深海の底をライトで探索するもの。探索するって言っても3~4m四方の箱の中で「周囲を見回す」ことができるだけで全然探索している感じがしない。ここで10分くらい使ったが、はっきり言って途中で飽きてしまった。すぐに他のコンテンツに変えてもらえば良かった。次に残った時間で同じThe BlueのWhale Encounterを体験した。これも歩く意味はまるでないのだが、沈没船の看板に乗る自分と海底との高低差が確かに感じられ、目の前に巨大なクジラが現れた時はその迫力に圧倒された。Viveの高画質もここで生きる。やはりスケール感こそがVRの売りではないだろうか。なので、狭い部屋の中を歩き回るルームスケールVRは今の所どうでもいいと感じる。脱出ゲームとかは応用できそうだけど。とりあえず今回の体験はここまで、他のコンテンツも体験したいので夕方の整理券を貰った。

PSVRを体験

PSVRも初めての体験だった。その軽さ、装着感の良さ、着脱の容易さに驚いた。これがSONYか。コンシューマーエレクトロニクスを製造する事に対する意識がまるで違う。HTCとSONYの間には越えられない壁がある気がした。PSVRのハードウェアとしての完成度はただ賞賛する他ない。体験したコンテンツはモーションコントローラーを両手に持って積み木を投げるだけというしょぼいものだったが、一応モーションコントローラーを使って「右手で上に放り投げた積み木を左手でキャッチ」する事くらいはできるのが分かった。あと、モーションコントローラーによる移動はちょっとストレスがあった。この「移動」のストレスをなくすだけでもViveのルームスケールVRのメリットはあるのかなと思ったが、PSVRでストレスや違和感のない移動のメカニクス考えるのがゲームデザイナーの仕事だよなと思った。いやあそれにしても楽しみだPSVR。

ゲーミングとVRにおけるマシーン・ラーニングの未来 The Future of Machine Learning in Gaming and VR

さて最初のセッションはこれ。受講した理由は今作ってる2030年を舞台にしたゲームの設定に説得力を与えるために未来の技術についてもっと知りたいと思ったから。深層学習とはなにか、強化学習とは何かを詳しく解説。この分野にも乗り遅れていた私としてはそれだけでも勉強になるけど、ゲームへの応用というと、FPSでシングルプレイでの練習がマルチプレイでまるで役に立たないという問題に対し、シングルプレイで使用するAIに上級プレイヤーの動きをシーケンス単位で学習させた所かなり好評だったという話があった。VRへの応用はあまり話していなかった。というより私があまり理解できなかっただけかもしれない。その他、Alpha Goが次に挑戦するStarcraftは局面の多様性が碁の比ではないという話。はっきり言ってついていけない部分が多かったので、CEDILにアップされたスライドで復習が必要に感じる。

MIDI復活ッッ!! レガシーテクノロジーを駆使してインタラクティブミュージックに挑戦せよ!!

これは素晴らしかった。スマフォゲームにおいて、状況に応じてトラックやエフェクトをオンオフしたりパラメーターを変化させるインタラクティブミュージックをやりたい場合、全てオーディオストリーミングにするとどうしても複数トラック分サイズを食うので、Wwiseというミドルウェアを使ってPS1の頃のゲームみたいに自前で小サイズのサンプラー音源を作ってそれをMIDIで鳴らすというもの。また、全てMIDIにしちゃうとクオリティが微妙なので、ブラスやギター等はオーディオトラックにして、MIDI音源と同期させたらしい。そのような場合でもWwiseなら各トラックの再生タイミングをしっかり合わせられる。普段私が使ってるUnityでやろうとした場合、はたしてちゃんと同期取れるのか分からず実装コストも読めなかったので、インタラクティブミュージックは全く考えてなかったのだが、かなりの興味が湧いてきた。多分次回作でWwise導入すると思う。なお、「インタラクティブミュージックは企画側からの要望だったのか?サウンド側からの要望だったのか?また、実装にあたってゲーム内のトリガーとサウンドのパラメーターを紐づける仕様は企画側とサウンド側どちらで決めるのか?」と質問したところどちらもサウンド主導であったが、後者に関しては企画とプログラムとサウンドで顔突き合わせて仕様をつめていくという話だった。音を消してプレイすることの多いスマフォゲームにおいても音で楽しませようとする姿勢等、ゲーム会社内製のサウンドはかくあるべしと感じたセッションでもあった。

モーションマッチング – 次世代アニメーションへの道 Motion Matching – Road to Next-Gen Animation

GDCで発表されたUBIの新たなアニメーションワークフローの話。正直GDCの時の記事を読んだ時はあまり理解できていなかったのだが、やっとどういうものだか理解できた。事前に渡した「ダンスカード」という演技内容をダイアグラム化した指示書の指定の通りにアクターが20分間演技を続け、キャプチャーする。そこから一つ一つアニメーションを切り出すのが従来の作り方だが、UBIのこれでは、ゲーム中のキャラクターのステートやプレイヤーの入力から20分間のアニメーションデータの中をフレーム単位で「次にとるべきポーズ」を検索し最適なアニメーションを生成するという。発想としては明快かつ画期的。それを実装する技術を数式まで見せながら解説。ここでも強化学習が出てくる。はっきり言って途中ついていけなくなった。これも復習必要。一つ面白いなと思ったのは、前述したダンスカード。これは、既存のステートマシーンの概念を図面化して収録すべきモーションを網羅したものだと思ってる。ちなみに「ミドルウェアとして他社にライセンスする予定はないのか」という質問に対しては「会社の上の方と交渉中」という回答だった。そういう質問が出てくるくらいにインパクトの大きいシステムだと思う。

Tokyo Demo Fest ~ a state of demoscene ~

インタラクティブセッション。モニターにリアルタイムで映される名作デモの数々に観入っていた。今年のTokyo Demo Fest以来の再会となるFL1NEさんから色々話を聞かせてもらった。高性能のデスクトップPCを台車に積んで電車で運んで来たらしい。今年は音楽とデモと両方出品してどっちつかずになってしまったけど来年はどうしようかなと考えてる。自分は専業のプログラマーじゃないけど自分でシェーダー書いて綺麗な映像出せる人には憧れる。一方で自分は音楽に専念した方が良いのではという気もする。いずれにせよ2月にああいうイベントがあって、そのために冬季鬱で低下しがちな創作のモチベーションが再燃するのはありがたい話である。

HTCViveを体験(Tilt Brush)

この日2回目のHTC Vive体験。ここで体験したのはGoogle開発の3DペイントツールTilt Brush。これは面白い。体を大きく動かして空中に絵を描き、自分の描いた絵に囲まれる体験の新鮮さ。これはViveの重さや不快感を忘れてやり続けてしまった。もしかしたらルームスケールVRはコンテンツを体験するよりコンテンツを作ることの方が向いているのではないかと思った。例えばゲームのレベルデザインをする時に自分でレベルの中に入ってオブジェクトを手に持って運んで配置していく等。考えただけでわくわくする。VRがコンシューマーエンターテイメントとして普及するのはまだまだ先だと思うけど、プロユースのツールとしての導入はかなり早く進むかもしれないと思った。要注目。

ゲームアニメーション制作時に発生する課題に対するラウンドテーブル

当初はこっちの方を観に行こうか迷っていたが、たまたま講演者控室の前でモデレーターの2人とスタッフパスで手伝いに来ていたFFアギトの時の同僚に会って談笑し、その流れでラウンドテーブルに参加する事となった。(しかし何故アニメーションのセッションを同じ時間に重ねるか・・・)入場時の待機列がもの凄かったのだが、「議題を書いてくれた人は優先入場して座れる」とのことだったので議題を書いた。ラウンドテーブルでは以下の議題が話し合われた。

  • フォトリアルなモデルに対するアニメーション

各社ともに「キャプチャーそのままじゃなくて何らかの手付けアニメーションの上乗せはする」という話。キャプチャーしても結局ループで使うことになるアイドルアニメーションは特に違和感が目立つのでループに対してランダムでノイズを上乗せするという話等。

  • アニメーションのアウトソーシング

アニメーションのリファレンスも見つからないし、自分で演技もできない時は結局のところ発注元と発注先とモーションアクターで顔突き合わせてつめていくしかない、そういう意味で海外へのアウトソースはかなりリスクが高いという話。海外へのアウトソースで結局海外に出向いて指導しているというケースも。

  • アートディレクターが自分の作業できない問題

ある程度自分が作る仕事ができなくなるのは仕方ないが、アートディレクターの役割はあくまでもアートの品質を向上させるためのクリエイティブディレクターであるので、マネージメントは別に人を当てた方が良いという話。

  • 非実在系クリーチャーの動かし方

体の各部位の重さを考えて物理法則に従って動かせば自ずとリアルなアニメーションになるという話。

  • Unity等ゲームエンジン/ミドルウェアの活用について

これが私のあげた議題。例えばせっかくUnity使うプロジェクトなのにアニメーターはFBXをエクスポートするだけで、ゲーム内でのState Machine(Animator Controller)の実装はプログラマーやゲームデザイナーに任せてるケースがある。もちろんアニメーターが実装した方がクオリティは上がる。ちなみにこの話をした時State Machineってものを知らないって人が結構な数いたし、FBXエクスポートする所までしかやらない人は多かった。しかしある会社さんでは、アニメーターがUnityを触らなくても最終的な実装の形だけでも理解して、ゲームデザイナーやプログラマーとState Machineの組み方を相談する所まではやっていると言っていた。その場合はUnityやUnrealがアニメーターとそれ以外の職種との共通言語となっているのでそれだけでも導入する意味は大きいと私が答えたところ、その「共通言語」という言葉をモデレーターのアレクシスさんがいたく気に入ったようだった。外国人だからその大切さがわかるのかも。その他私の方から「多くのプロジェクトでプログラマー以外にUnity触らせないのは、Unityのライセンスの問題もある。」という話をした。それに同意する人もいた。

他にもアニメーション制作において役立つ話が色々聞けた。個人的には元職場の人たちが問題意識、目的意識を持ってワークフローの改善に取り組んでる事を知って嬉しくなった。行って良かった。

CEDECの運営について

さてこの日、2日目に私と一緒にパネルディスカッションする人達が講演者受付でパスを受け取れないという事態が発生した。パスそれ自体が用意されてなかったし、「代表者の私がまとめて受け取ったのでは?」とか言われたらしい。(そもそも誰に何を渡したかを記録してないのが有りえない。)「昨年と同じ会社さんですか?毎年のようにこんなことばかりで困ります」と伝えたら昨年トラブルあった時に対応してくれた担当の方が出てきてその後丁寧に対応してくれたので良かった。また、他の多くの参加者も言っていたことだが、常に大混雑で、どのセッションの待機列もすごいことになっていて、せっかく並んでも教室に入れないケースが目立った。そんな中会場整理のボランティア(2017年度の新卒内定者や専門学校の学生が中心)が、スピーカーが並んでる受講者に対して優先入場の条件について呼びかけていても一緒に声をかけることなくぼーっと突っ立っていたり、受講者として一緒に列に並んでいたり、人から聞いた話であるが立ち見のいるセッションで席に座って寝ていたりと色々と対応のまずさが目立った。ボランティアについてはボランティアなのでしょうがないと思う。これを業者に全て委託した結果わけわからない学生バイトが来たらもっと嫌だ。CEDECというイベントがどういうものか理解して、業界への貢献を少しでも考えている人がいるだけましと考える。どちらかというとオリエンテーションに不備があっただけと思える。このイベント自体、運営事務局の委託会社もボランティアも現状の体制では手に負えないような開催規模に育ってしまっただけの話に思える。来年度については4日間の開催も含めて運営委員会には改善策を検討していただけたらと思う。

ウェルカムレセプション(講演者懇親会)

初日の夜は毎年講演者だけ招待される懇親会がある。今年は主にFL1NEさんと話してた気がする。また、佐野信義さん(佐野電磁さん)にも7年ぶりくらいに再会できて良かった。まだ音楽を続けていることを報告できた。この懇親会は名刺交換するとこじゃなくて知ってる人と話をする雰囲気。そういうとこが好きなんだけど2日目のパネルディスカッションの準備をまだやり残していたのであまり長居せずに早々に帰った。

 

 

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