好きな創作活動を仕事にするか他の仕事と両立するか



先月の話だがTwitterのタイムラインに流れて来た上記の投稿をRTした後、以下のような話をしたら思いのほかRTされたので意見をまとめることにした。

 

議論の前提条件

ここでは「好きなこと」とか「趣味」の種類を以下のように一定以上の専門スキルと時間を必要とするもの。また、それによって生活に必要な額以上の収入を得るプロ活動を成り立たせる市場や産業が存在するものに限定する。

絵を描く
漫画を描く
小説を書く
実写映画を撮る
CG・セルアニメを撮る
音楽を作る
音楽を演奏する
ビデオゲームを作る

上記以外にも産業化された様々な創作活動の形がある。

結論:できれば好きなことを仕事にした方が良い

理由はいくつかある。

1.時間は限られている

人生の時間は限られている。大半は仕事の時間が占めている。仕事として好きなことをやれれば明らかに好きなことをやれる時間が増える。

2.心身のコンディション

例えば、朝食後にすぐ絵を描き始めるのと1時間くらい電車で立ち続けて帰宅した後に絵を描き始めるのとどっちが良い絵が描けるだろうか?(もちろん、早起きして朝食前に描くという工夫も考えられるが。)また、平日に積み重なった疲れがどっと押し寄せる休日に朝から晩まで集中して絵を描き続ける事は出来るだろうか?出来る人は出来るのだが、それが出来る人は絶対にプロになれる。

3.スキルアップの機会

もし、自分のスキルが未熟だと思うならなおさら仕事にすべきである。お金を貰いながら先輩達から色々学ぶ事が出来る。例えばゲームが作りたいなら一度はプログラマーとしてゲーム会社に入ってみるのは悪くない。自分の好きなゲームのソースコードを見られるかもしれないし、それを作ったプログラマーから直接教わる機会があるかもしれない。

4.マスからの評価

マス相手に商売している会社の仕事だと、より多くの人に自分の仕事が届き、評価してもらえる可能性がある。もちろん同人活動でも多くの人に届く場合があるが、これが会社の仕事だと本当に容易にできる。マスからの評価というのは、良い評価でも悪い評価でも自分を大きく成長させる機会になる。

なお、他にも「制作に億単位の予算が使える可能性」というメリットがあるが、大抵の場合において企業として億単位の予算をかける場合は好きなように作れない事がほとんどなので「好きなことを続けるため」という観点からは重視しない。創作活動を好きに続けるという観点からは上記4つが重視する点である。

 

好きなことを仕事にしたつもりが何か違うという場合

しかし、好きなことを仕事にするつもりで関連産業に就職しても前述の4つのメリットを享受できない場合がある。

会社に入ると仕事の内容がずれる場合

例えばゲームデザイナーとして仕事するつもりでゲーム会社に入るとする。しかし日本の多くのゲーム会社には専任のゲームデザイナーというポジションはないのでプランナーという肩書きで就職する事になる。そして、多くの場合、新人のプランナーの仕事内容はゲームデザインよりも制作進行に関する雑用が多い。また、プランナーのキャリアパスの先にディレクターというポジションがあるが、それもゲームデザインのリーダーではなくて開発作業の監督である。先輩達からゲームデザインを学ぼうと思ってもそもそもゲームデザイナーとは言えない先輩達から学べるのは「コミュニケーションのマナー」だけだったりする。ゲームデザイナーとして必要なスキルを伸ばしたり実績を積むのは、実はゲーム会社に入ると難しいのである。

評価の機会が少ない場合

大手ゲーム会社、あるいはその下請け仕事が多い中小のゲーム開発会社に入った場合、数多くのステイクホルダーからの口出しによりゲーム開発のゴールがころころ変わり、その度に仕事のやり直しが発生してなかなか完成しないという事がある。それの何がまずいかというと、「自分の仕事の評価が一般のお客さんではなくて関係者の中だけで完結する状況」が長く続く事である。ポジティブな評価でもネガティブな評価でも作り手を真に成長させるのは一般のお客さんからの評価である。その機会を得る事なく関係者からああでもないこうでもないと言われ続ける状況は、スキルアップにもキャリアアップにもつながらない。

単純に待遇がブラックな場合

日本のゲーム会社やアニメ会社の給料は一般的にとても少ないし、個人に時間的な負担を強いる事で制作進行が成り立ってる事が多い。その結果可処分所得と余暇時間が少なすぎるのは非常にまずい。家族や友人や恋人との時間、あるいは1人で趣味に没頭する時間はどんな仕事にも必ず良い影響を与える。また、エンターテイメントを作る人は、ある程度遊びにお金を使う事で自分の創作物にお金を払ってくれるお客さんの気持ちを理解しないといけない。それがない生活は非常にまずい。

 

環境は改善できる

上記のように酷いケースがあるが、それでも仕事にするのをすすめる理由がある。それは一度仕事として始めてしまえば待遇や環境の改善がそこまで難しくないからだ。最も簡単に環境を改善する方法は、職場を変える事である。個人のスキルへの依存性が高い創作系の仕事は他の業種と比べて同業他社への移籍が容易である。また、その場合前職より給料の額が上がる事が多い。よく「少なくとも最初の会社に3年はいないとだめだ」と言う人がいるがそれもあまり関係ない。もちろんどの職場も3ヶ月で辞めてるという人は警戒されるが、どちらかと言うと「過去に何やったか」よりも「今とこれから何ができるのか」で採用を判断される。ちなみに僕の場合は8年間で収入は3.5倍以上になっているし、労働時間は明らかに減っている。振り返ってみると会社を変えたり独立したりクライアントを変えるたびに新たなスキルや知識を身につけてそれが収入の向上や環境の改善につながっている。エンターテイメント産業はブラックだと言われる事が多いが、多くの場合ブラックになるかホワイトになるかは自分次第だと思う。

情報を共有しよう

思いの他長い記事になってしまったので、引用したtwitterの発言にあった「有能な人は仕事を楽しむセンスがあるために自分の夢を忘れて現状に満足しがち」というトピックについては別の機会に話そう。創作系の仕事に興味があるけど実際に皆どういう生活してるのかどういう人生送ってるのか分からないから怖くて飛び込めない人が多いと思う。このblog記事がきっかけになってtwitterで様々なケースについて話されるようになったら本望である。記事についての感想や意見もtwitterで聞かせて欲しい。こういう記事は今後も書き続けようと思う。

 

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